【JeSU】第5回『eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会』

2/18(火)に日本eスポーツ連合(以下、JeSU)の経済産業省との取り組みである、第5回『eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会』が開催されましたのでその内容をレポートします。

■開催概要

日時:2月18日(火) 15:00〜17:00

場所:東京証券会館

公式サイト:https://jesu.or.jp/discussion/

■『eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会』とは?

検討会は以下の趣旨で行われています。

一般社団法人日本eスポーツ連合は、eスポーツの健全かつ多面的な発展に向けて、経済産業省とともに、周辺市場・産業への経済効果を含めた国内のeスポーツの市場規模の試算、諸外国のeスポーツの発展経緯等に関する調査分析、eスポーツの社会的意義に係る現状・課題・今後の展望等の整理・検討に取り組むことをお知らせいたします。

そこでJeSUでは、「令和元年度新コンテンツ創造環境整備事業(eスポーツに係る市場規模等調査分析事業)」として、委託者である経済産業省とともに「eスポーツを活性化させるための方策に関する検討会」を開催し、下記2点の取組を実施してまいります。

①周辺市場・産業への経済効果を含めた国内のeスポーツの市場規模の試算、海外主要国のeスポーツの発展の経緯等に関する調査・分析を行うこと
②eスポーツの社会的意義について国内の各種取組の現状、課題、今後の展望等を踏まえ整理・検討を行い、一定の示唆を得ること

■検討会のメンバーは?

以下委員名簿を参照ください。オブザーバーの関係各庁に加え、検討会に必要な各分野のプロフェッショナルが集まっています。

https://jesu.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/01_meibo_vol3.pdf

■議題は?

検討会は全5回で構成されています。

本検討の趣旨である①「市場規模の算出・目標設定」とともに、②「市場成長に向けた提言、並びに社会的意義に向けた提言」を整理し、最終的には実行主体となる関係官庁や産業界に提言をしていくという、重要な検討会になります。

今回第5回目の議題は以下です。

■第5回目議題

  1. 報告書について
  2. 検討会終了後の活動について
  3. 検討会総括

■第5回で使用した主な資料

JeSU公式サイトの以下PDFを参照ください。

■報告書

日本の e スポーツの発展に向けて(案)
別紙1 海外調査報告(案)
別紙2・3 成長施策・社会的意義提言シート

■第5回 報告書・検討会終了後の活動について

https://jesu.or.jp/wp-content/uploads/2020/02/04_condition_vol5.pdf

以下各議題に対して記載します。

■1.報告書について

検討会における議題を通じて、日本におけるeスポーツの直接市場の長期目標(2025年に600-700億円)を設定するとともに、エコシステム領域における経済活動、波及領域へ及ぼす経済効果を含めた全体の長期目標(2025 年に 2,850~3,250 憶円)を試算しました。

(1)市場規模長期目標

2018年の日本eスポーツ市場規模は44億ですが、当検討会ではeスポーツ先進国のファン比率や市場規模、並びに日本国内の他のスポーツの市場規模などを参考に、規模の妥当性や予測を含め市場規模目標を設定しました。直接市場の長期目標は、2025年で600-700億となります。

(出典:JeSU公式サイト「日本の e スポーツの発展に向けて(案)」)

以下に比較参考情報を添付します。市場規模としては他のプロスポーツ市場と比較すると、JリーグとBリーグの間になります。

■他のプロスポーツ市場との比較

■エコシステム領域における経済活動、波及領域へ及ぼす経済効果を含めた全体の長期目標

直接市場に加え、エコシステム領域、波及領域へ及ぼす経済効果を含めた全体の長期目標は、2025年に2,850-3,250億円となります。政府もこの経済効果による日本の発展を考えています。

(出典:JeSU公式サイト「日本の e スポーツの発展に向けて(案)」)

 

(2)市場成⾧に向けた提言

成長に向けた方向性案は以下の5つです。

(出典:JeSU公式サイト「日本の e スポーツの発展に向けて(案)」)

  1. ゲームの魅力向上
  2. イベントの魅力向上
  3. 選手の経済的地位向上
  4. チーム/選手によるファン獲得/コア化
  5. 法制度/ルール対応ハードルの引下

■各方向性の内容

1)ゲームとしての魅力向上
ここでは、人気競技の育成に向けたタイトルの選定と注力や、多くのファンを取り込むために、コンソールやモバイルに縛られずにどのデバイスからもプレー可能なタイトルの開発を行うこと、世界的競争力をつけるために、e スポーツに必要な技術開発などへの支援などが提言として提示され、それぞれに対する具体的なアクションが掲げられた。
2)イベントとしての魅力向上
ここでは、地域対抗スポーツ大会における e スポーツの正式競技化や e スポーツ世界大会の日本開催、テーマ別限定大会や短時間で観戦しやすい大会の開催など、大会そのものへのアプローチによる魅力向上への提言や、スター選手の輩出・育成に向けた提言、大会運営に係る国際ルールの構築などが提言として提示され、それぞれに対する具体的なアクションが掲げられた。
3)選手の経済的地位向上
ここでは、プロスポーツ化を支える「実業団」制の推進やリーグ等での最低年俸の適用など、選手の経済的地位向上に向けた提言と具体的なアクションが掲げられた。

4)ファンのコア化
ここでは、遊び、プレー、大規模イベント、オンライン・オフライン観戦といったキーワードでファンのコア化を促す「場の整備」の必要性についての提言が出されたほか、e スポーツを通じた企業の福利厚生によるファンのコア化を実現しようというアイデアの提案もあった。
5)法制度/ルール対応のハードル引き下げ
ここでは、施設運営や e スポーツ・イベントを基軸にしたガイドラインに加え、ゲームタイトル(IP:intellectual property)利用・許諾に関するガイドラインの必要性についての提言があった。

■具体的な提言内容

以下のシートに纏められています。

別紙2・3 成長施策・社会的意義提言シート

前項で掲げた5つの方向性と、それぞれの提言を実行していくにあたり中心的な役割を担うべき主体を明示しています。

(3)社会的意義の実現に向けた提言

以下のシートに纏められています。

別紙2・3 成長施策・社会的意義提言シート

社会的意義に関する提言は3つに分類されています。SDGsに関連して検討がなされています。

  1. 人生を楽しく健康で生き生きとしたものとする
    ここは、奨励プログラムなどを通じて e スポーツそのものの普及を図っていこうという提言や、選手の精神・身体ケアサービスを提供し、健康で持続的に e スポーツに取り組める環境を構築しようという提言、e スポーツの持つ医療、教育的効果についてのエビデンスを得るための研究への助成や教育カリキュラムへの導入などを通じて e スポーツの価値を実証していくべきとの提言が提案された。
  2. 共生社会や健康長寿社会の実現、経済・地域の活性化
    ここは、「共生社会に加え、昨今の「地方創生」にもつながり得る領域であり、高齢者や障害者の参画を促す施策に加え、海外事例も参考にしながら、都市対抗のリーグ戦の開催や各地域への大会用施設の設置を行ってはどうかとの提言が提案された。
  3. 「多様性を尊重する世界」「持続可能で逆境に強い世界」「クリーンでフェアな世界」の実現ここでは、青少年の国際交流において e スポーツは共通言語になり得るとの意見もあり、e スポーツをテーマにした観光ツアーや国際交流の場の設置をはじめ、日本を拠点に活動する選手のための長期滞在ビザ取得要件に明確な基準を設置することにより国際大会の国内誘致を促進するなど、多様な提言が提案された。

2.検討会終了後の活動について

(1)プレスリリースの発出

検討会で討議された内容をプレスリリースとして発出されます。

※プレスリリースは恐らく2020年3月~4月頃と予想されますが、日本でこれまでeスポーツ市場全体像を調査・分析・検討・提言・共有が行われた例は少なく、大きな反響があるものと予想されます。

(2)検討会の成果を周知するセミナーの開催

検討会での討議成果を広く周知するために全国でセミナーを開催を検討しています。

〈実施案〉
時期 :2020年4月~6月(予定)
場所 :全国9箇所(予定)

北海道地域(札幌)、東北地域(仙台)、関東地域(東京)、中部地域(名古屋)、近畿地域(大阪)、中国地域(岡山)、四国地域(徳島)、九州地域(福岡)、沖縄地域(那覇)

主催 :JeSU、JeSU地方支部
内容 :セミナー(講演、パネルディスカッション)
可能であれば、セミナーと合わせ、eスポーツ体験会や簡単なパネル展示も検討

 

検討会の内容は以上です。

これらの提言により、eスポーツを取り巻く環境が良い方向に大きく変わっていくと考えます。プレスリリース発出をきっかけに、提言に対する対策はこれからが本番になりますが、各提言に対する具体的な対応は、委員会メンバー並びに関係者により分科会のような形式で今後も継続して実施されていくことが予想されます。

当メディアも情報発信等を通じeスポーツ発展に今後も寄与してく所存です。

e-Sports TODAY編集部

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